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耳鼻咽喉科 門山先生のドクタートーク

気になりだすと止まらない 慢性の耳鳴り。
疲れがたまっているときや眠れないとき、耳鳴りがするのはめずらしくないことですが、耳鳴りも慢性的に続けば、不眠やうつ状態を引き起こすなど、深刻な問題になってきます。今回は慢性的な耳鳴りについて解説します。

周囲に音源がないのに音を感じる状態を「耳鳴り」といいます。「キーン」という高音がしたり、「ザー」「ブーン」と虫の羽音のような低音がしたり、耳鳴りの音色や音の大きさは人によりさまざまですが、疲れたときや睡眠不足のときなど、ごくたまに感じるのは、誰にでも起こりうることで、心配はいらないといわれています。

しかし、耳鳴りがひんぱんに起こったり、ずっと続いたりすると、耳が聞こえにくくなるほか、イライラ、不眠、うつ状態を引き起こし、日常生活に影響を及ぼすようになります。

耳鳴りは、カタツムリのような形をした内耳の蝸牛(かぎゅう)という器官に異常が起こり発生すると考えられていますが、その原因やメカニズムはまだハッキリとは解明されていません。原因がわからないために、耳鳴りをなくす決定的な治療法もないのが現状です。

急性の耳鳴りは突発性難聴、メニエール病などが疑われるので、早めに病院で診察を受ける事を勧めます。急性の場合は原因がわからなくても、血液の循環をよくし耳の組織に酸素を補給するような薬によって改善するケースも多いです。

また、まれですが、脳出血や脳腫瘍などの病気が原因で急性の耳鳴りが起こることもあるので、検査をきちんと受けておいたほうが安心です。

3ヶ月以上続く慢性の耳鳴りは、ほとんどが原因不明です。大きな病気の徴候であったり、すぐに聞こえなくなるという前兆であることはありませんが、治療は難しく、耳鳴りの改善薬や漢方薬も効かないことが多いといわれています。

耳鳴りの中には、本来なら脳が重要ではないと判断して、意識されないはずの音を耳鳴りとして認識してしまうために起こるものもあります。

例えば、冷蔵庫の『ブーン』という音が気にならないのは、脳が重要ではないと判断し、その情報をふるい落としているからです。耳鳴りも重要ではない情報と判断されればよいのですが、何かのきっかけで気にするようになると、耳鳴りに注意が向いてしまい、ますます耳鳴りが気になるという悪循環が生まれます。

このように、脳の情報処理がかかわる点をうまく利用した新しい治療法が注目されています。TRT療法(Tinnitus Control Instrument)は、耳鳴りを完全に消したりするのではなく、耳鳴りに慣れてしまおうという発想から生まれた画期的な治療法です。

このTRT療法は、耳鳴りの音に慣れさせる治療法で、耳鳴り順応療法とも呼ばれています。慢性の耳鳴りで問題なのは、脳が耳鳴りを過剰に感知してしまうこと。そこで、耳鳴りを消すのではなく、カウンセリングと音響療法により、耳鳴りが気にならなくなるよう訓練するのがTRT療法の特長です。

患者さんはTCIという補聴器のような器具を1日6〜8時間、毎日耳につけます。TCIからは心地よいノイズ音が聞こえてくるので、耳鳴りよりもTCIの音に注意が向き、しだいに耳鳴りを意識しなくなります。早い人では約1ヶ月で効果が現れ始め、約8割の人が1〜2年で耳鳴りがしなくなるか、あるいは耳鳴りがしても気にならなくなるといわれています。



カウンセリングも重要です。慢性の耳鳴りは人にわかってもらえない、治すことができないというストレスにより悪化します。大きな病気の症状ではないため、病院でも『気にしないのが一番』などと言われがちで、いろいろな病院を転々とする、いわゆるドクターショッピングをしてきた人も少なくありません。うつ状態が著しい場合は、精神安定剤や抗うつ剤を併用することもあります。

TRT療法の治療を受けられる医療機関は、TCIのメーカーであるシーメンス社のホームページで調べることが可能です。カウンセリング等に時間がかかるので、事前に問い合わせてから受診したほうがよいと思います。




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