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整形外科 専門医のドクタートーク

西村整形外科 西村和博先生のドクタートーク
第1に患者様個人に合った生活環境の整備と骨粗鬆症の治療の為に定期的な検査
第2に青少年の骨間接疾患の予防"であります
地域に根ざした医療を目指してまいりますので、藤沢市の皆様何なりとご相談下さい。



Vol.1 “腰痛”について
はじめに
腰痛の生涯有病率は84%であるという調査報告があります。これは10人中8人が生涯で1度以上腰痛を経験したことがあるという結果です。私の医院にも大変多くの腰痛患者さんが来院されます。その多くが腰痛症と呼ばれる疾患であります。

内科でいう風邪と同じようなもので、大抵は短期間に改善をしますが、適切な治療を受けないと慢性化したり、場合によっては悪化したりすることがあります。今回はこの腰痛症を中心に腰痛疾患の診断、治療、予防を簡単に説明させてもらいます。

 
「正しい診断が治療への早道」
腰痛の正しい診断は専門医の診察とレントゲン等の各種検査が必要です。
非医師や非専門医での診断は大変危険を伴うこととなります。
正しい診断があって初めて正しい治療、予防が行うことができるからです。
豊富な知識と確かな技術を持った専門医に総合的に診断してもらう必要があります。


それでは私どもが行っている診断手順を簡単に説明いたします。

腰痛の原因が重篤な病変(癌転移、椎間板炎など)や内臓病変でないことに焦点を絞って診察を行います。
次に神経学的所見をとります。
足を上げたり、ハンマーで叩いたり、足の先を触ったりします。
さらに、神経障害以外の腰痛の場合は疼痛の発生部位がどこなのかを検索します。

ったり、押したり、ひねったりといろいろな検査を行い、原因を絞っていくわけです。画像診断は以上の診察結果から、疾患を絞り確定するために必要な検査であります。しかし、画像検査だけに頼ってはいけません。こんな研究報告があります。MRI上の椎間板ヘルニア像と腰痛とが一致することはまれである。脊柱管狭窄症の画像診断は症状と関係がない”といった題名なのですが、言いたい事はレントゲン写真やMRIの所見だけでは正確な診断は出来ないということです。豊富な知識と確かな技術を持った専門医に総合的に診断してもらう必要があります。

主な腰痛の原因となるのは以下の5つが考えられます。
@神経が障害されたことによる疼痛
A関節からの疼痛
B骨からの疼痛
C筋肉からの疼痛
D心因性の疼痛(精神的な疼痛)

などが考えられ、実際はこれらの原因がいくつか合わさって腰痛を起こしていることが多いです。

@は腰の背骨を通っている神経である馬尾神経や神経根が変形した骨や突出した椎間板にて圧迫されて疼痛が出現します。

Aについてですが、腰椎は5つの骨で出来ています。それぞれの背骨は前方では椎間板、後方では左右にある関節で連結されています。それぞれの関節は体を前後屈した時に大きくスライドして動きます。これが少しだけずれ、すべりが悪くなるとAによる疼痛が出現します。また同じような現象が骨盤の一部である仙骨と腸骨の間にある仙腸関節でも起こります。

Bは特に骨粗鬆症の方が起こす圧迫骨折にて引き起こされます。

Cでは一定の姿勢で腰痛が生じて、それ以外では腰痛が無いことが多いです。朝起きたときだけや座り続けているとき、夜寝ている姿勢のとき、また電車で立っているときにだけ腰痛が出現することから姿勢性腰痛とも言われています。
 

 
「しっかりとした治療選択」
1)急性腰痛治療のガイドライン
1994年米国医療政策研究局が発表したものであります。
@ 疼痛に対しては消炎鎮痛薬、マニピュレーション(受動術)が腰痛を最も安全に緩和できる。
A 安静臥床は4日以上不要である。
B 急性期を過ぎた患者は、できるだけ早く日常生活に復帰させる。
C 軽い手足の運動(低負荷の有酸素運動は2週間以内に開始する)
以上がその治療法ですが、これを行うためには短期間に除痛をする必要があります。

そのために以下の治療を腰痛の原因別に行います。

2)腰痛の一般的治療

@ 神経根障害:仙骨硬膜外ブロック、コルセット、McKenzie運動療法、ノイロトロピン静脈内注射
A 椎間関節由来の腰痛:椎間関節注射、トリガーポイント注射、McKenzie運動療法、マニピュレーション
B 仙骨関節由来の腰痛:AKA法、仙腸関節への局所麻酔薬注射
C 椎体骨折の疼痛:安静、コルセット、骨粗鬆症治療薬
D 姿勢性腰痛:原因となる姿勢の矯正、McKenzie運動療法。
E 心因性腰痛:カウンセリング、精神安定剤


3)McKenzie運動療法
最近、欧米で脚光を浴びているのが本法です。
今まで腰痛時は腰椎を前屈し、膝を曲げて安静位を取ることが大切であるという考えでしたが、本法ではまったく反対の考えで、腰椎を他動的に伸展して疼痛を改善する方法です。McKenzie運動療法は多くの追跡調査にて腰痛体操による治療に比べて、再発率、有病率共に有意に少ないことが報告されています。


4)マニピュレーション

現在、諸外国ではマニピュレーションを医学として認知するようになってきています。腰痛治療の20%が医師による徒手医学的治療に移行してきている地域もあります。ところがわが国では、医学の正確な知識のない非医師によっていわゆる脊椎矯正が行われている現状であります。本法の適応外の疾患に対し手技を行えば、どんなミゼラブルな結果がでるのかみるに耐えません。腰痛の多くがマニピュレーションで改善されるのであれば、患者さんにとって大きな福音であろうと思います。それには専門医が正確な診断のもと本法を行うべきと思います。


5)骨粗鬆症治療薬

骨粗鬆症治療薬ですが現在ビスフォスフォネート製剤という大変良いお薬が出ています。骨粗鬆症の方で、血液または尿検査で骨を溶かしてしまう細胞が元気な方がこのお薬の投与の適応となります。ただし、骨粗鬆症の予防薬ではありませんので、骨粗鬆症でない方は処方できません。お近くの整形外科医にご相談ください。

 

 
「間違いだらけの予防法」
)座位姿勢の矯正運動
従来、腰椎前弯を改善することが腰椎予防の主眼でした。そのため、座位の姿勢は膝関節を股関節より高くして、体を前かがみにする姿勢が良いとされました。

しかし、これは“安楽姿勢”であり作業を行う姿勢ではありません。
当然この姿勢で長くデスクワークをしていると腰痛が出現します。

より良い座位姿勢を作るための矯正術があります。

方法は・・・
椅子に座って最大に前かがみになります。
次にあごを引いた姿勢で体を反らします。
この両極端の姿勢の中間の姿勢をとります。

この動きを1日20回以上行います。


2)立位姿勢の矯正運動

両足を30cm離して立位をとり、両手を腰にあてて押すようにして脊椎を後ろに反らします。この位置を1分間持続します。


3)腰椎前弯維持の“ランバーサポート”

“ランバーサポート”は欧米のF1カーレースにおいてシート開発研究の結果、発明されたものであります。わが国では従来、カーシートというとソファーをそのまま持ってきたようなものが多く見られました。これは安楽姿勢が腰痛の予防になるという間違った概念による産物でした。しかし、このことに早くから気が付いていた自動車メーカーがありました。それが昔からレース車を開発していたホンダでした。ホンダ車のシートには従来から“ランバーサポート”がついていたのもそのためです。

最近では、腰椎前弯を維持するための椅子が発売されています。これにはランバーサポートとなる背もたれがありません。膝と股関節を軽度に屈曲して座位をとる椅子で、腰椎をなるべく立位姿勢に近くし、腰椎前弯を維持しようとするものです。長時間のデスクワークを行う方には最適だと思います。


4)就寝姿勢による腰痛の予防

皆様、床の上に天井を見て横になってみてください。背中と床との間に手のひらが入るほどの隙間がありますでしょうか。腰痛のある方のほとんどが、手のひらが入らないと思います。
先ほどから話している事ですが、腰椎の前弯が維持できない方は、寝ているだけで腰痛が起き、あるいは朝起きたときにだけ腰痛が発生しやすいのです。よって、寝具がこの腰椎前弯を維持できれば腰痛はおきにくいわけです。そのためには、シーツの下に腰椎前弯を維持できるだけのタオルを丸めて横に敷いて置いてみてください。このことで就寝時に腰椎の沈み込みを防ぐことができます。


5)その他の姿勢について

@ 歯や顔を洗う時
A 掃除機をかける動作
B 重い物を移動させるとき
C 物を持ち上げる動作
D 車の乗降時の動作、について腰痛予防の姿勢を解説した。
 

 
「まとめ」
1) 腰痛の治療のためには豊富な知識と確かな技術を持った専門医に総合的に診断してもらう必要があります。
2) 腰痛の予防には腰椎前弯の維持が大切であります。

3.骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の話(2)/あなたの骨は大丈夫ですか.。
2.骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の話(1)/スカスカ骨粗鬆症にご注意ください。
1.腰痛について/腰痛の生涯有病率は84%であるという調査報告がありま。



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