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内科 高橋先生のドクタートーク

<多発性骨髄腫について>
多発性骨髄腫という病気をご存じでしょうか?


多発性骨髄腫は、骨髄(骨の内部にあり、白血球・赤血球・血小板などの血液細胞をつくる工場のようなところ)を主な病巣とし、骨髄中にある形質細胞というリンパ球が腫瘍化し増殖する病気です。この腫瘍化した形質細胞を骨髄腫細胞と呼びます。

腫瘍が1ヶ所だけにみられる孤立性骨髄腫というものもまれにありますが、数ヶ所に同時に発生するケースがほとんどなので、通常は多発性骨髄腫とよんでいます。

40歳以下での発症は稀で、おもに50歳以上の人に発症します。近年高齢者が増加してきていることもあり、この病気を発症する人も増えてきています。

形質細胞は、感染を防ぐ働きをする免疫グロブリン(蛋白質の一種)というものをつくっていますが、腫瘍化して骨髄腫細胞となってこれが骨髄の中でどんどん増えてしまうと、感染を防ぐ働きをすることができない異常な免疫グロブリン(M蛋白といいます)ばかりが大量につくられ、正常な免疫グロブリンの産生はむしろおさえられてしまうため、免疫力が低下してしまい、肺炎をはじめとする感染症にかかりやすく、また治りにくくなってしまいます。

また、M蛋白の増加により、腎臓をはじめとするいろいろな臓器の働きが落ちてきます。また、増殖した骨髄腫細胞によって、骨も徐々に破壊され、病的骨折や高カルシウム血症を起こすようになります。症状についてですが、初期の段階では自覚症状に乏しい場合があります。例えば、たまたま健康診断で血液中の総蛋白濃度が増加していたのをきっかけに見つかるケースもあります。

だんだん進行すると、背中や腰の痛み、貧血等による倦怠感、腎機能障害などが出現するようになります。特に背中や腰の痛みを訴えるケースが多いため、最初に整形外科を受診し、多発性骨髄腫が疑われ内科に紹介となることもしばしばあります。

また、かなり病状が進行した場合、高カルシウム血症による意識障害をきたすこともあります。診断についてですが、通常血液内科のある病院で確定診断をつけていきます。血液検査・尿検査・骨のレントゲン検査に加え骨髄穿刺という検査も行っていきます。

次に治療について説明します
多発性骨髄腫の場合、急性白血病などと違い病気の進行は比較的ゆっくりなケースが多く、また病気の進行程度によって治療方針が変わってきます。したがって、病気の進行程度を表わす病期の評価も重要になります。骨髄腫の腫瘍量を反映したDurie & Salmonの分類がよく用いられ、貧血の程度を示すヘモグロビン値、血清カルシウム値、骨の病変の有無、血清M蛋白濃度などによりI期・II期・III期に分けられます。

I期では、通常治療は行わず、定期的な血液検査などで経過観察していきます(ただし、腎機能異常を伴うIB期は治療の対象になります)。II期・III期になると治療が行われるようになります。おもな治療法には化学療法と放射線療法があります。

化学療法とは、抗がん剤による治療のことをいいます。MP療法(メルファランとプレドニゾロンによる治療)やVAD療法(ビンクリスチンとアドリアマイシンとデキサメタゾンによる治療)などが行われます。また、65歳以下の比較的若い患者さんに対し大量化学療法後に造血幹細胞移植を行うこともあります。また、治療抵抗性の場合にボルテゾミブ(注射薬)やサリドマイド(内服薬)等分子標的治療薬を使用することもあります。

放射線療法は、骨髄腫細胞が腫瘤をつくった時や骨髄腫細胞のために骨の痛みがひどくなった時、その部位に限定して放射線を照射する治療法です。これにより、腫瘤が小さくなったり痛みが軽くなったりする効果が期待できます。また、骨病変の改善にビスホスホネート製剤等を用います。

当クリニックでは骨髄穿刺を行っていないため、確定診断をつけることはできませんが、血液検査・尿検査等により多発性骨髄腫あるいはその前段階のようなものであるMGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance:従来、良性単クローン性γ-グロブリン血症といわれていたもの)の疑いがあるのかどうかを判断することは十分に可能なので、ご心配な方はぜひ一度当クリニックを受診してみて下さい。



高橋先生のドクタートーク(病気・診療の話)

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